愛のマンション塾
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◆マンション購入コラム 第三回
中古マンションの選び方の基本③


大規模修繕工事を、見据えよ。

マンションは、一体何年持つのでしょうか?
税法上の法定耐用年数なら、47年。コンクリートかぶり厚3㎝なら、65年。コンクリートのFC(設計基準強度=圧縮強度)30N/m㎡なら、100年。しかし、自分の購入予定のマンションの寿命は、誰にも分かりません。

建築基準法で規定されているコンクリートの最低かぶり厚は、3㎝ですので、上記のように、理論上は65年の寿命ですし、普通コンクリートのFC(設計基準強度)でいえば、かつては18N/m㎡だったのが、震災後21N/m㎡になり、近年では、24N/m㎡が一般的となっていますので、この場合の理論上の寿命は、コンクリートかぶり厚3㎝の場合と同じ、65年の寿命ということになります。

実際のマンションで見てみますと、1924年から1933年の間に建築された同潤会アパートが築60年~70年で取り壊されていますし、日本初の分譲マンションだった渋谷の「宮益坂ビルディング」も、2016年に築65年程で取り壊されていますので、近年の高層マンションで採用されている、高強度コンクリート(36N/m㎡以上)や、超高層マンションで採用されている超高強度コンクリート(60N/m㎡以上)以外の普通コンクリートのマンションであれば、寿命は、やはり60年から70年程度が一般的なのかもしれません。

しかし、これらの寿命は、メンテナンスの程度によって、大きく変わる場合があります。新耐震基準(1981年)以降のマンションであれば、普通コンクリートのマンションでも、適切なメンテナンスによって、70年以上の耐久性を持たせることも可能だといえます。
よって、中古マンションを購入する場合には、この大事なメンテナンスを、適切な時期に、適切な内容で行っている(行う計画のある)マンションを買うべきなのです。

では、適切な時期の適切な内容のメンテナンスとは、一体どのようなものなのでしょうか?
マンションの寿命に関わるメンテナンスで、最も大切なのは、「コンクリートの中性化を少しでも遅らせる」ためのメンテナンスです。

鉄筋コンクリートは、鉄筋をコンクリートのアルカリ性で包むことにより、中の鉄筋の腐食を防いでいます。
上記のコンクリートかぶり厚や圧縮強度から算定した理論上の寿命も、コンクリートの外気酸化等により、コンクリート内部のアルカリ性が徐々に失われて、中の鉄筋が腐食するまでの期間を予測したものです。

そして又、そのコンクリートは、色々な外的要因によってクラック(ひび割れ)や欠損が発生します。そのクラックや欠損をそのまま放置しておけば、そこからコンクリート内部の中性化が早まり、中の鉄筋の腐食も早まり、しいては、マンション自体の寿命も早まることになるのです。

マンションの大規模修繕工事の第一回目は、この建物の寿命に大きく関わる「外壁・躯体関連の補修工事」となります。
そのメンテナンス時期は、各マンションの外壁・躯体の状況により変わってきますが、おおむね20年前後のマンションが大半を占めています。

それでは、仙台市内の築30年弱の高層マンションの事例を見てみたいと思います。
◆第一回大規模修繕工事
◆築21年目に実施
◆工事内容: 
①躯体補修工事: 躯体のクラックや欠損部分の調査・補修
②外壁タイル補修工事: 外壁のクラックや欠損部分の調査・補修
③外壁塗装工事: 建物外壁面の塗装
④シーリング工事: 建物廻りやサッシ廻りのシーリング材(防水材)取り替え
⑤防水工事: 屋根やバルコニーの防水工事
⑥床シート工事: バルコニー床面のシート貼り替え
⑦共用部工事: 共用廊下廻りや階段廻りの壁タイル補修やシーリング材取り替え

上記工事内容で、約半年強の工期となりました。このマンションは、総戸数が200戸を超える大規模マンションでしたが、これらの総工費を総戸数で単純割りすると、1戸当たり約980,000円の費用負担となっています。

このマンションの修繕積立金の㎡単価は、約130円でしたので、
仮に専有床面積の全戸平均を75㎡とすると、1か月の平均修繕積立金9,700円として、101か月分(約8年5か月分)の修繕積立金換算の費用となりました。

ただ、マンションの場合の修繕は、上記のような大規模修繕だけではなく、築後20年の間には、色々な箇所で、設備関連の更新・改修や不具合箇所の補修等がありますので、修繕積立金プールに余力を残して、大規模修繕工事に臨めるマンションは、そう多くはないのが実情です。
このマンションでは、幸いに、数年前の修繕積立金値上げによって、何とか今回の大規模工事費用の借入れをしないで済んだ模様です。

近年は、新築購入時に、修繕積立基金として1戸当り30万円~40万円程度を管理組合に預ける代わりに、月々の修繕積立金を㎡単価100円未満にするマンションが多くなっていますが、このような場合、築後10年以降には、確実に修繕費用不足に陥ることが予測されます。(つまり、10年目以降には、修繕積立金の2倍以上の値上げが必至)

中古マンション特に、築20年前後の中古マンションを購入する場合には、そのマンションの修繕積立金に目を向け(修繕積立金の値上げの予定はあるのか?あるいは、既に値上げしたのか?)、さらには大規模修繕工事がどうなっているのか(既に実施したのか?まだであれば、実施予定はあるのか?大規模修繕のための一時金徴収の予定はあるのか?)を、不動産業者任せにせず、自ら十分見据えてから、購入を検討して下さい。




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