<その1>
ここ何年かの住宅の流通市場動向をみると、戸建ての中古物件が、戸建て新築建設戸数のおよそ1割前後の流通量に留まっているのに対して、中古マンションの市場流通量は、新築マンション着工戸数の3割前後と、中古としての流通比率は、戸建てよりかなり高い比率となっています。
これは、マンションの居住形態が、戸建てと比べて、はるかに立地・間取り・価格等のファクターバリエーションが豊富で、多様なユーザーニーズに対応可能であるからでしょう。
マンションの場合、外形的には、取引対象が、建物室内だけなので、建物外観や敷地内の付加物まで含まれる戸建てに比べ、中古市場に売り出すためのリフォーム費用が安くすむなどの点も少なからず影響しているのかもしれません。
それでは、そんな中古マンションの価格は、どうやって決まるのでしょう?中古マンションの売却価格成立までの流れを簡単に見てみましょう。物件価格と一口にいっても、実際、売買が成立するまでには、以下のように「4つ」の価格が存在します。
【1】 まず不動産業者が、売主に「売り希望価格」があれば、それを訊きます。
【2】 次に、業者がその物件を査定し、「査定価格」(助言価格)を出します。
【3】 前記【1】と【2】を元に、売主と業者の協議により、「売出価格」(媒介価格)を決めます。
【4】 そして、最終的に買主との協議の結果、決まった価格が「売買価格」(成約価格)という
ことになります。
<その2>
ここでは、不動産業者が行う上記の「査定価格」の出し方について、少し詳しく見てみることにします。この査定価格の出し方は、不動産業者の考え方によっても若干違いますが、大手不動産業者を含めて一般的には、(財)不動産流通近代化センターの価格査定マニュアルを基にしています。
このマニュアルは、査定対象物件と「近傍の取引事例」との相対比較により価格を求めるというのが特徴です。査定項目は、全部で23項目で、査定物件と事例物件の両方を、各項目0ポイントを基準に、プラス又は、マイナス査定していき、合計評点にそれぞれ100ポイントを加算します。以下に、実際の査定表の一部と査定価格の算定式をまとめましたので、参照して下さい。
項 目 |
格 差 |
査定評点 |
事例評点 |
最寄駅または
中心街へ
徒歩で |
〜3分 |
〜6分 |
〜10分 |
〜15分 |
+5 |
0 |
−5 |
−13 |
|
−5 |
0 |
リビング
ダイニングルーム
の広さ |
約12畳以上 |
約8〜12畳未満 |
約8畳未満 |
+2 |
0 |
−2 |
|
0 |
2 |
収納のし易さ
(収納間口約1.8m
を1ケ所とする) |
|
1 |
0 |
*その他20項目を査定(省略) |
合 計 |
+1 |
+7 |
101点 |
107点 |
事例平米単価 |
×(査定評点/事例評点) |
×査定専有面積 |
= 査定価格 |
ex.50万円 |
×(101点/107点) |
×70m2 |
= 3,290万円 |
|
|