区分法(マンション法)を学ぶときに注意が必要なのは、条文中に「規約で別段の定めができる旨」明記されている条項に関しては、区分法の規定よりも、各マンションの独自の管理規約の規定内容が優先されるということです。
また、法律の優先順位としても、民法の規定より区分法の規定が優先されるので、結局、管理規約/区分法/民法の順に規定内容が優先されるということになります。ただし、管理規約が公序良俗に反する場合(例えば、独自に罰則規定を設ける等)や、区分法の強行規定(必ず従わなくてはない条項)に反する場合また、管理規約の成立過程に瑕疵(欠陥)がある場合には、その部分についてのみ、無効となります。
■区分所有者の団体(管理組合)
○区分所有者となれば、当然に、建物・敷地・付帯施設の管理を行なうための団体(管理組合)の構成員となる。
※区分所有者からの賃借人である居住者は、管理組合員ではない。
■管理者の選任等
○総会の過半数決議(区分所有者の頭数・共用持分等)により、管理者を選任及び、解任することができる。
※管理者とは、フロントの管理人ではない。
※管理者は、必ず選任しなくてもよい。
※管理者は、管理組合員以外の第三者や法人(例えば、管理会社)を選任することもできる。
※実務では、規約にて別段の定めができるので、理事会の互選により理事長を選任し、同時に管理者に任命し、それを総会で承認(過半数決議)するというのが、一般的である。
■管理者の義務
@管理者は、区分所有者の代理者であり、善良なる管理者としての注意義務を負う。
A毎年一回一定の時期に、集会(総会)において事務報告をしなければない。
※善管注意義務は、自己のものを管理する以上の注意義務が要求される。
※管理者は、善管注意義務を怠ると、組合員から損害賠償を請求されることもある。
※これらの義務は、たとえ無報酬の場合でも変わらない。
■管理規約の設定・変更・廃止
@区分所有者の頭数及び、議決権(共用持分等)の4分の3以上の賛成により、管理規約の設定・変更・廃止ができる。
A最初に建物の全部を所有するもの(つまり、分譲業者)は、公正証書(公証人役場で手続き)による規約で、敷地の範囲/共用室(管理室・多目的室等)の範囲などを単独で設定できる。
※公正証書による規約も、4分の3以上の賛成で、変更・廃止ができる。
■管理組合の集会(総会)
@総会の招集権は、管理者にあるが、各区分所有者も区分所有者の頭数及び、議決権(共用持分等)の5分の1以上の賛成により、総会召集を請求することができる。
A総会出席ができない場合の議決権の行使方法としては、代理人による方法(委任状による)と書面による方法(議決権行使書)がある。
※規約にて、召集権の成立要件を、5分の1より少ない割合(例えば、6分の1以上等)にすることもできる。
※委任状・議決権行使書は、どちらか選択できる。また実務では、総会成立条件として、議決権(共用持分等)の半数以上の参加者を要するとしている場合が多いが、委任状・議決権行使書いずれの場合にも、総会参加者として人数にカウントされる。