シックハウス規制に関する考察・その2
今回のシックハウス対策規制では、シックハウスの原因物質そのものの使用抑制と同時に、室内を強制換気して、いかにシックハウスの原因物質を取り除くかに重点が置かれています。
★ホルムアルデヒドに関する規制のつづき
イ)常時(24時間)機械換気装置の設置義務化
この規制は、たとえ、F☆☆☆☆の規制対象外の建材を使用した場合でも、室内に持ち込まれる家具やジュータン等からのホルム発散があるため、住宅等の居室(家具等の販売店舗も含む)の場合には、1時間あたり0.5回以上(事務所等の非住居系居室の場合は、0.3回)の有効換気能力のある、常時機械換気装置を付けることが、義務付けられています。
ただし、以下のいずれかの場合には、1時間あたり0.5回以上の自然換気が見込まれるので、設置が免除されます。
@相当隙間面積が、1uあたり15cm2以上の住宅
A合板等を使用しない木造在来工法の真壁造り(柱を壁内に埋め込まない)の住宅
B@と同等の自然換気が見込まれると、大臣認定を受けた住宅
■RCマンションの場合は、上記設置免除に該当するような自然換気が見込めないので、常時機械換気装置は、必ず設置することになります。また、冬場は、高気密住宅でも、室内と室外の温度差自然換気(0.1〜0.2回/時程度)が起きますので、常時機械換気を夏場と同じ能力で使用すると、室内が過換気となり、室内温度・湿度共に必要以上に下がりすぎる場合がありますので、省エネや健康面からも、常時機械換気の能力を押える使い方が必要になります。この点は、RCマンションでも、戸建てほどではないにしろ、ある程度考慮する必要があると思われます。
ウ)天井裏・床下等の対策
折角、室内のホルム発散建材を面積規制し常時機械換気装置を付けても、天井裏や床下等にホルム発散建材が無制限に使用されていると、特に、気密性の高い住宅の場合には、常時換気の吸引作用(室内が負圧になる)により、それらの空間からホルムアルデヒド等が室内に引き込まれることになります。
そこで、天井裏や床下等にも一定の規制が設けられています。
以下の条件の内、いずれかをクリアしなければなりません。なお、規制対象となる箇所は、小屋裏・天井裏・押入れ・壁体内・床下です。
@天井裏や床下等の下地材をF☆☆☆以上の発散量の少ないものにする。
A天井裏や床下等シート等で気密を作るか、合板等で通気止めし、室内と区画する。
B室内の常時機械換気装置の種別毎に以下の対策をする。
□第一種機械換気(排気給気共、機械換気)→→室内の空気圧を天井等より高く保つ。
□第二種機械換気(排気:自然、給気:機械)→→対策必要なし。
□第三種機械換気(排気:機械、給気:自然)→→天井裏等も換気する。
■近年のRCマンションの場合は、壁手摺りの下地合板以外は、壁・天井共、軽鉄(LGS)下地構造が多いので、この規制で関係がある部位は、主に押入れやクローゼット内及び、床下地材(パーティクルボード・合板・根太等)となります。
なお、これらシックハウス規制法対象のマンションが竣工するのは、おおよそ平成16年春以降と思われますが、この規制対象マンションを購入する場合には、上記のどの対策をとられたマンションなのかを、十分に確認した上で購入する必要があります。
また、シックハウス規制法は、あくまで最低基準なので、特に、アレルギー症状のある家族がいる場合には、以下のような規制基準以上のレベルの物件を選びたいところです。
@室内扉、フローリング材、キッチン・洗面台・シューズラック・造り付け家具等の表面材、和室天井のプリント合板、壁紙、仕上げ塗材及び施工時の壁紙糊・接着材等居室内で使われる建材が、すべてF☆☆☆☆(規制対象 外)の建材を使用している。
A押入れ・クローゼット内の表面材や流し台・洗面台・シューズラック等の造り付け収納家具等、日常開閉するも のの内部建材も、F☆☆☆☆(規制対象外)の建材を使用している。
B床下地材(パーティクルボード・際根太等)、壁内の合板下地・木製間柱・胴縁等は、F☆☆☆以上の建材を使用している。
C居室全体の常時機械換気装置は、第一種機械換気(同時給排気型)を使用している。
D調理室の換気装置(レンジフード)は、給排気型か、調理室内に専用の給気取り入れ口のあるもの。
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