マンションの消防設備・詳細 (


仮に、あなたが、マンション購入を検討する際、そのマンションの消防設備を選択基準にすることは、まずないと思いますが、自分たちの生命や財産を一遍に喪失してしまうおそれのある「火災」に対する種々の設備は、いわば、マンションライフでの「保険」のようなものですので、たとえ、普段は、あまりお世話になることがなくても、やはり、侮ることのできない大切な設備の一つだと言えます。
そこで、今回から何回かに分けて、マンション内の消防設備について少し掘り下げて考察してみたいと思います。第一回目の今回は、火災をいち早く探知するための設備「自動火災報知設備」に関する考察です。


<自動火災報知設備の種類>

自火報は、消防法により、マンション(共同住宅)においては、延べ床面積500u以上(又は、3階以上が300u以上)に設置が義務づけられていますが、平成8年以降の一般のRCマンションであれば、共同住宅の特例基準(平成7年10月5日付け220号通知)が適用されますので、特例基準を満たす共同住宅専用の以下の2種類の自火報システムを建物階数や建物形状等によって、使い分けることになります。

220号特例基準による消防設備(自火報・非常警報・スプリンクラー)を一定の基準に従って設置すると、延べ床面積2100u以上(又は、4階以上が450u以上)で設置が必要な屋内消火栓の設置免除等の緩和措置を受けることができます。

また、220号基準では、いずれのシステムの場合も、マンションの各住戸の独立性(プライバシー)を考慮して、外部から住戸内の感知器を点検できる「遠隔自動試験機能付き感知器」の設置が義務づけられています。なお、自火報システムの性能のグレードとしては、住戸内の台所・洗面室を含め全居室に感知器が設置され、火災時には、火災発生階及び、直上階全域にも自動的に火災を報知する、住宅性能表示「感知警報装置設置基準」該当のシステムが最も高い性能となります。

住戸用自動火災報知設備
     住戸内          共用廊下    非開放共用部     管理室
●熱感知器 ※1
●P型3級受信機
(非常ベルのみ)※2
●戸外表示器[インターホン一体型]
   (火災表示灯+非常ベル)
●共同住宅用非常警報設備
●熱感知器 ※3
(又は、煙感知器)
●住棟受信機

共同住宅用自動火災報知設備
     住戸内          共用廊下    非開放共用部     管理室
●熱感知器 ※1
●P型3級受信機
(非常ベルのみ)※2
●戸外表示器[インターホン一体型]
  (火災表示灯+2段階音声警報
                   ※4
●熱感知器 ※3
(又は、煙感知器)
●住棟受信機
●非常電源装置


※1
:台所及び、洗面室の熱感知器は、定温式スポット型特種(公称作動温度65度又は、60度)
    居室の熱感知器は、差動式スポット型2種(急激な空気膨張を感知し、作動するタイプ)
※2:受信機には、P型とR型があり、P型は、共通の信号を受信するタイプで、3級は、1回線のみの最も小型な
    受信機
※3:階段室は、5階以内毎に煙感知器等。共用廊下は、歩行距離15メートル以内毎に熱感知器設置
※4:住戸内の感知器が作動すると、戸外表示器の赤色火災表示灯が点滅し、第一段階で「火災感知器が作動
    しました」という音声警報が流れる。その後、火災確認時又は、一定時間(2〜5分)経過後、第二段階で
   「○階○号室から火災が発生しました。避難してください」という音声警報に切り替わる。




<220号特例基準における自火報設備の設置基準>


特例基準における自火報の設置基準は、まず、1住戸の共用側開口部面積が、4u以下かどうかにより分類され、さらに、共用廊下の開放の有無・2方向避難の有無及び、建物の建築階数により決まります。


■1住戸の共用側開口部面積が4u以下[1ヶ所2u以内]の場合
      開放廊下型で、2方向避難型     開放廊下型又は、2方向避難型
住戸用
自火報設備
6〜10階建ての建物
階建て以下は、共同住宅用非常警報設備のみ)
3〜5階建ての建物
階建て以下は、共同住宅用非常警報設備のみ)
共同住宅用
自火報設備
11階建て以上の建物
11階以上の階で、スプリンクラー設置階は不要)
6階建て以上の建物
11階以上の階で、スプリンクラー設置階は不要)

なお、非開放廊下型で、さらに、非2方向避難のマンションの場合には、その他の建物形状のマンションと比べて、避難安全性や非延焼性・排煙性などが劣ることから、前記一定規模以上のマンションでは、通常の消防法の規定どおり、各階の共用廊下に屋内消火栓(1号消火栓又は、2号消火栓)の設置が必要となります。

1号消火栓(人操作用)=折畳型ホース口径約40ミリ・長さ約30m(警戒区域:半径25m)
2号消火栓(人操作用)=保形型ホース口径約25ミリ・長さ約20m(警戒区域:半径15m)







塾講義ファイル ◆ハード篇◆
  ■マンションの躯体は、一体何年もつの?
 ■マンションの寿命を縮める要因・その1
 ■マンションの寿命を縮める要因・その2
 ■マンションの劣化と改修・その1
 ■マンションの劣化と改修・その2
 ■マンションの劣化と改修・その3
 ■マンションの劣化と改修・その4
 ■マンションの劣化と改修・その5
 ■マンションの劣化と改修・その6
 ■マンションの耐震改修・その1
 ■マンションの耐震改修・その2
  ■高層マンションの耐震設計等に関する一考察
 ■マンションの安全は、足元から【地盤編】
 ■マンションの安全は、足元から【基礎編】
 ■高さ31m関連規制に関する考察
 ■マンションの消防設備についての考察
 ■マンションの消防設備・詳細(1)
 ■マンションの消防設備・詳細(2)
 ■シックハウス規制に関する考察・その1
 ■シックハウス規制に関する考察・その2
 ■マンションの音環境・その1[外部騒音]
 ■マンションの音環境・その2[隣戸騒音(1)]
 ■マンションの音環境・その3[隣戸騒音(2)]
 ■RC超高層マンションの変遷・その1
 ■RC超高層マンションの変遷・その2
 ■超高層マンション探訪・その1
 ■超高層マンション探訪・その2
 ■超高層マンション探訪・その3
 ■超高層マンション探訪・その4
塾講義ファイル ◆ソフト篇◆
 ■マンション訴訟の扉(1)[ペット訴訟]
 ■マンション訴訟の扉(2)[床騒音訴訟]
 ■マンション訴訟の扉(3)[駐車場訴訟]
 ■マンション訴訟の扉(4)[防音瑕疵訴訟]
 ■マンション訴訟の扉(5)[眺望瑕疵訴訟]
 ■マンション訴訟の扉(6)[漏水訴訟]
 ■マンション管理費等滞納対策(1)
 ■マンション管理費等滞納対策(2) 
 ■マンション管理費等滞納対策(3) 
 ■マンション管理費等滞納対策(4)
  ■地震被害とマンションについての一考察
  ■大きな地震の後の建物チェック
  ■マンションの欠陥事例・その1
 ■既存マンションの結露対策リフォーム
 ■新築マンションの定期点検(バルコニー編)
  ■21世紀・現代「超高層マンション考」
 ■高層マンションのインテリアは?
 ■100年マンション・SIマンションって何?
 ■日本のマンションのルーツを探る
 ■中古マンションの価格はどうやって決まるの?
 ■マンションの緑化についての考察
 ■あこがれのフローリングにしたい
 ■マンション法(区分所有法)の要点を掴もう

 【その1】
 区分所有権/共用部分を利用する権利/
   共用部分の所有持分/敷地の所有権の持分

 【その2】
 区分所有者の団体/管理者の選任等/管理者の義務
  /管理規約の設定・変更・廃止/管理組合の集会

 【その3】
 管理組合法人/法人の理事・監事/法人理事の義務
 【その4】
  違反行為停止等の「裁判外請求」/違反行為停止等の
  「裁判による請求」/専有部分使用禁止の
  「裁判による請求」 /専有部分競売の「裁判による請求」

 【その5】
  マンションの復旧/大規模滅失時の買取請求権/
  罰則について

 【その6】
  マンションの建替え/売渡し請求権/再売渡し請求権
  /団地型マンションの建替え






Copyright (C) 2006 aino-mansionjuku All Rights Reserved.